2月17日(入院16日目)「ICUからの帰還」

入院期間

コードブルー

朝、6時頃に眼が覚めた。

昨夜叫んでいた患者さんは、幸い朝方に眠りについたのかおとなしくなっていた。そのおかげで数時間だが私も眠れたようだ。

室内に電気が灯り、看護師さんから声をかけて頂く

体調も少しよくなったので、ベッドから体を起こして初めて部屋の中の状態を見ることができた

さっきまでは、天井と枕元の脈拍や心電図のモニターしか見えていなかったから。

どうやらこの集中治療室には、カーテンで仕切られたベッドが4床。そして部屋自体はオフィスのような感じで、ドクターや看護師さんのデスクがたくさん置かれている。

どちらかというと、オフィスに緊急用ベッドが併設されているという印象だった。それくらい、ドクターや看護師さんが事務仕事をしている部屋。といった感じ。まあ、とにかく、常に医療従事者が側で見ていてくれるので安心感がある。

そんなこんなで、朝食を僅かばかり食べて、少し経った9時頃・・・

「コードブルー、コードブルー、緊急搬送〇〇!」というアナウンスが部屋に響き渡った。

さっきまで割と日常の感じだったのに、急に空気が変わり緊張感が走る!緊急搬送でまた誰かが運ばれてくるようだ。

「どこに入れる?!」「現状の状況が〇〇」「いま、4つとも埋まっている!」看護師さん達の真剣なやり取りがすぐに始まる。

「4番、Nekoさんが一番病状安定している」と看護師さん同士の会話の中で自分の名前が出ているのが聞こえてきた。

確かに緊急状態は脱しているし、そこは是非緊急の人を優先して頂きたい

私は急遽、8Fの個室に戻ることとなった。命のやりとりの現場だという事を認識する場面にまた遭遇した。

検査尽くし

さて、何とか個室に戻ってこれた

気持ち的には本当に「死に掛けたな・・・」といった感じだった。

人目がなくなり安堵した瞬間、ふと涙が頬を伝った。

鏡に映った我が姿を見る。

胸に痛みがあるので鏡で見てみると、昨夜の心臓マッサージの跡がついている。

人によっては肋骨が折れてしまう場合もあるのだから、このような跡や痛みも当然ですね・・・

さて、落ち着く間もなく、今日は検査がたくさん。

昨夜もCTを撮ったと思うが、今日はMRIで頭部の撮影。そしてレントゲン撮影。

あと、血管造影してCTスキャン。

そして今日から、看護師さんが付き添い状態の車いすでしか部屋を出れない。身体を動かしにくくなりました。

差し入れ

検査後の時間に、パートナーが洗濯物や調味料などの差し入れを持ってきてくれた。

まだ、コロナ禍という事もあり面会はできないので、荷物だけ看護師さん経由で受け取った。

夕方に主治医から

「検査結果を元に、今後の治療方針について家族同席の上で説明を行いたい」

との事だった。

一旦帰ってしまったパートナー、そして父親に病院まで来てもらい、主治医から検査結果を聞いた

新たな診断

まず昨日の発作は「症候性てんかん発作」との事。

意識を失っている間は痙攣していた。だが、心臓は止まってはいなかったと思うとのこと。

そして、本日MRIで頭部を撮影した。

痙攣発作の原因は、脳の血管(静脈)が張っていて、周りがむくんでいる状態(浮腫)だから。

これにより、一部が梗塞となった。静脈性の梗塞。

午後には血管を造影して(造影剤を入れて)CTスキャンを実施。

脳の静脈の至る所に血栓が出来ている。

静脈が詰まり、痙攣発作となった。

これは一般的な、てんかん発作と同じ。

何故静脈が詰まったのかは、はっきりしていない。だけどガン患者は出やすい。

元々血が固まりやすい体質という可能性もゼロではないので、凝固の異常があるか血液検査中。

血栓が静脈にあるので、点滴投与で治療する。

診断は「静脈洞血栓症」

一部、脳梗塞なので、今後てんかんは残る可能性があるが、抗けいれん薬を服用すれば、大丈夫。

血栓のところは血流が鬱滞(うっ帯)して、頭痛や大痙攣や脳障害が出た。

放射線治療は中断しない。

出血のリスクはあるものの、放射線治療を続けながら治療する。

最近の血液検査で血小板減少が見られるが、化学療法をすると下がるもの。

安静度については、部屋内での軽い運動に留めて欲しいとの事。

ここまで一気に説明を受けた。質問はあるかと聞かれたが質問する気力が私にはなかった。

癌という病気との闘いに前向きに頑張ろうと取り組んでいた最中、このような告知を受け正直ショックだった。

自分の脳の指令と身体の動きが伴わないという事は、脳梗塞などの類であろう可能性は昨日の時点で十分想像をしていた。

でも改めて宣告されると「マジですか・・・」という気持ちになりますね。

癌だけでも大変そうなのに、これからまた別の大変な病気とも向き合わねばならないのか。

何故、私にこのような状況が課せられたのか?その理由を考えようとしたがすぐに止めた。無理だ。考えるのがつらい。

幸いなことは、この状況を一人で抱えなくてすむことだ。一緒に考えてくれる家族やパートナーがいてくれる。こんなに有難いことはない。一人だと不安に押しつぶされてしまうだろう。

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